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インフルエンザの治療

インフルエンザウィルスには大きく分けてA型、B型、C型が有りますが、治療方法は同じです。

1.抗インフルエンザウィルス薬

インフルエンザウィルス感染による発熱開始後96時間以内、出来れば48時間以内に投与を開始すると効果が有ります。日本では主に以下の5種類の薬が使用されています。

(1)イナビル(ラニナミビル オクタン酸)

吸入薬です。血液の中に長時間留まる性質が有るため(半減期67時間)、初回診断時に1回吸入するだけで治療はほぼ完結します。10歳未満の小児には20mgを1回吸入、10歳以上では20mgを2回吸入して戴きます。現時点では、タミフルやリレンザ耐性ウィルスにも効果が有り、A型のH5N1鳥インフルエンザウィルスにも効果が認められています。当院ではインフルエンザの第1選択薬としており、院内処方をご希望の患者さんには院内処置室にて吸入のお手伝いをさせて戴きます。イナビルは、インフルエンザの予防効果も有りますが(20mgを1日1回吸入を2日間)、健康保険が適応されません。家族内でインフルエンザ患者さんが発生した場合の対処については、直接お問い合わせ願います。

尚、2019年にネブライザータイプも発売されましたが、現時点で当院では採用していません。

(2)タミフル(リン酸オセルタミビル)

カプセルの内服薬の他、小児用のドライシロップ(細粒)も発売されています。体重1kg当たり2mg以上投与するため、体重37.5kg以上では1日2回各1カプセルを5日間、それ未満の場合はドライシロップを体重に合わせて投与します。当院ではカプセル薬のみ院内処方薬として常備しております。また、インフルエンザの予防効果も有り、成人の場合は1日1回1カプセルを7~10日間、小児の場合は1日1回5日間内服して戴きますが、健康保険が適応されません。近年、日本国内でもタミフル耐性のインフルエンザウィルスが報告されておりますが、まだまだ有用な内服薬です。

(3)リレンザ(ザナミビル)

吸入薬です。成人も小児も1回2吸入を1日2回、5日間投与します。吸入回数が多く、煩雑なため、当院では院内処方薬として常備はしておりません。ご希望の方には院外処方箋をお出しします。インフルエンザの予防効果も有り、成人、小児共1回2吸入を1日1回、10日間行いますが、健康保険の適応は有りません。

(4)ラピアクタ(ペラミビル)

日本で初めて発売された抗インフルエンザの点滴注射薬です。主に経口内服や吸入が出来ない方に使用されます。300mgを15分以上かけて点滴静注しますが、重症化の恐れがある場合は600mgを連日投与します。当院には常備しておりませんが、ラピアクタの投与が必要な方には適切な医療機関をご紹介いたします。

(5)バロキサビルマルボキシル(ゾフルーザ)
2018年に発売された内服薬です。初回診断時に1回内服するだけで治療はほぼ完結します。現在、10mg錠と20mg錠が発売されており、小児用ドライシロップは(細粒)は2019年後半以降に発売予定です。体重10kg以上20kgの方は10mg、体重20kg以上40kg未満の方は20mg、体重40kg以上80kg未満の方は40mg、体重80kg以上の方は80mgを1回のみ内服します。健康保険適応ですが薬価が非常に高く、3割負担の方の場合、体重が80kg以上だと初診料+インフルエンザ検査料+薬剤費(院内処方の場合)で自己負担額が約5、000円と高額になります。当院では錠剤が内服出来ない方には院外処方とし、調剤薬局にて散剤を内服して戴きます。

尚、「ゾフルーザ」は、昨シーズン、A型H3N2に対して高率に耐性が生じたため、当院ではインフルエンザ迅速診断キットでA型陽性になった方には、原則、処方しません。

(2020年5月6日)

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